飛散
岡部淳太郎

きょうもまた
むごたらしくも
花が咲き
そして散り
音もなく
忘却はととのえられ
かるくなって
飛んでいき
あしもとのごみは
せわしなく
掃き集められ
きよめられて
そうしてくりかえし
生死のなみは
めぐっていき
一輪にも
百輪にも
おなじいのりを
そなえては
このあたたかさに
たちどまる
とおい春に
散っていったものは
やすらかだろうか
きょうもまた
むごたらしくも
花が咲き
そして散り



(二〇〇八年三月)


自由詩 飛散 Copyright 岡部淳太郎 2008-03-26 21:44:38
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3月26日