雨のち
佐々木妖精
出口に中指を添え
Tシャツとジャージ 石鹸に座ってよろめく
壁を蹴ると滲む 気化した感情
昨日の雨は冷たかったが
雨上がりを見逃してしまった
窓を打つ音は
雨後雨と報じる
曇りガラスを開き
宙に文字を刻み水滴を揺らして弾き
目撃者を望むにも
こうも降っては紛れてしまう
壁に張り付いた湿気がダラダラ垂れる
目元の蛇口は恐怖を蓄え。
楽になりたい
雹でも降るのだろうか
人はなぎ倒され
宿り木は貫かれ
人影はかき消され
降ればいい
不信
賭けに出たコックから
一度は破れた手が
晴れを運んできた