五線譜の橋  
服部 剛

東口を出た歩道橋に 
一人立つ 
目の見えない 
フルート吹きの奏でる 
あめーじんぐぐれいすの 
音色を前に 

手押し車の老婆は通りすぎ 
土産袋を持ったサラリーマンは通りすぎ 
ハイヒールの女が通りすぎ 
眼鏡の学ラン青年が通りすぎ 
はしゃぐ女子高生等が通りすぎ 

人の流れる川のほとりで 
荷物を降ろした僕は佇み 

日中亡き友の自宅に行き 
骨壷の前で別れを告げた 
ひと時を偲ぶ 

彼の体が溶け去り
残された世界の広がりに 
今・自分が立っており 
鼓動を繰り返す胸に 
手をあてる 

数え切れない 
靴音の響き 

フルートの奏でる 
あめーじんぐぐれいすに 
ひと時の休符になった僕の蒼い魂と 
音符になった人々の十色の魂をのせて 
絶え間なく流れる旋律の川は 
五線譜の歩道橋 








自由詩 五線譜の橋   Copyright 服部 剛 2008-03-24 23:14:58
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