強弱
ねなぎ

やっちゃあられん
あつくて
たまらんに
なんで
こんなこと
やらにゃあ
いかんやあ


毎日
図面とか
回路図なんか
書いて
抵抗値やら
リップルの
影響やらなんて
考えて
コンデンサの足は
短くとか
信号線は
いくつとか
アースを
分けるのかなんて
ちまちまと
細かいことを
考えてると
頭が
しまいには
混線してきて
短絡か
開放されてんじゃ
ないのかと
思えてくる

ほとんど
力仕事で
体張ってやらなきゃ
いけない
変圧器とか
高圧線なんて
触れれば
即な訳で
いくら
ヘルメットをして
作業着きて
二芯だ
四芯だ
十六芯だとか
同軸だか
何C-2Vかって
言われたところで
所詮は
現場の下っ端
危険な所に
登るしかない


やっぱ
むこうにしておけば
よかったやあ
なんか
みくだしてるんじゃ
ないかやあ
はだって
やってるとしか
おもえんよう


弱電と言ったて
コンセントから
100Vくらいは
使うわけだし
そりゃ
主につかうのは
直流かも知れないが
危ないことが
ない訳じゃない
ハンダごての熱さを
我慢して基盤に
着けなければ
いけないし
100だって
死ぬときには
死ぬんだから
だいたい
今時の基盤は
細か過ぎる
2.54でもきついのに
1.00なんて見てれば
目も悪くなる
オシロのプローブを
着けるのにも
気を使う
松脂の臭いが
立ち込めて
ますます
いらいらする

コードを引っ張ってこいだとか
そこの所の線を巻いとけだとか
しまいには
配線図に無い所まで
プラグを伸ばせとか
言われて
走り回った結果
電圧が足りないとか
ちょっとそこに
登ってきてとか
言われる始末
アスファルトの
焼ける臭いが
立ち上り
高所作業を車もなしに
胴綱に体重かけて
やっていると
体中が軋んで
だらだらと汗が流れるが
拭えもしない


まどごしに
めがあう
むこうがわは
いいやあ


中では
基盤とか作っている
大学のときは
よくやっていたけど
もうACとか
HCの型番も
忘れてしまった
向こうはクーラーが利いていて
涼しいのだろう
回路設計とか
頭良さそうに
しやがって

外では
俺らは
強電とかいう
顔で
がっしりとした
体つき
弱電など
バカにしてるんだろう
電検も持っていないし
免許も無い
日が当たることも
見られることも無い
電気と言ったら
電線か
交流が
そんなに
偉いのか


なんで
こんなに
あついのに
こんなことしにゃあ
いけんの
むこうは
いいよな
たのしそうで
やりがいも
あるだろうし
おなじでんきなのにさあ
どうしてこうも
ちがうかしん
まったく
おとましいよお


未詩・独白 強弱 Copyright ねなぎ 2004-07-03 13:05:50
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