寒い
青木龍一郎
さみー
オレンジジュース飲んだらさみー
そりゃ外でオレンジジュース飲んだらさみーかー
スーツを着た男たちが「誰にしようか誰にしようか」と悩んでたので僕が「じゃんけんで決めたらどうですか」と教えてあげたとき、僕は本当に天才なんじゃないかしらと思う
さみー
さみー
さむいねー
心臓を凍りつかせる
さむいねー
僕はなにもあったかいものを
もってない
それは自らを喪失させる
何も
何ももってないのに
寒がっていた
ジュースの甘味でその場を凌いで
終われば
息を吹きかけて
気づけば僕は外に居て
一人
ただ一人
独り言を言いながら
ぶるぶる震えていたんだ