しのばせて
ふるる

井戸水を拾って
足音をしのばせて
どうか誰にも
誰にも気づかれませんように    想いを、想いを、想いを
つるべを握って         しのばせて
雨よ、雨           降るのは花びらよ
              見上げれば
雲を見上げるの
草でちくちく足の裏    座らせてね
冷たい         あたたたかい椅子に
 
必要としているって  ほんとうに、こころから
            ほんとうには、嘘がちょっぴり
ほんとうに、こころから  座っているんだわね

              届いた?あの手紙?
君に椅子を作りたい      なんて書いたかしら?
手ごろな木を見つけて    光る銀のペーパーナイフ
ナイフでそっと削って   薄い封筒を切り開いて
ゆっくり、ゆっくり
               読んで

届かない想いを、想いを、想いを・・・・
                     読まないで
春先にね                鳴いているひばり
ひばりが鳴くのは           さみしく聴こえるのはたぶん
さみしいから            
                 あたたかい椅子に
ことこと心臓のおと       嘘がちょっぴり
おなべが煮えているおと    誰にも気づかれないわたしの

優しいわね、静かで    あなたの心臓のおと
              ほんとうに、こころから
                必要としているって

                   想い  
                      雨よ、雨

                    足音を   しのばせて・・・・


自由詩 しのばせて Copyright ふるる 2008-03-22 21:55:00
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