カニバリズム
望月 ゆき


いくつもの読点で、あなたを区切って
体内へと運ぶ


元のカタチを、思いだすこともできないくらいに
細切れに、咀嚼していく
小指の爪から、過日の砂が落ちて
潮の匂いがした


ところで
両手を合わせて正座をしていると、どうしてか
まつ毛が濡れてくるのです



満たされていくわたしの前には
最期の瞬間に、あなたが
口にした、ことばだけが まだ
皿の上に残っています






ポエニーク 即興ゴルコンダ投稿



自由詩 カニバリズム Copyright 望月 ゆき 2008-03-22 14:34:49
notebook Home 戻る