サイトカイニン
茜井ことは

昼の光は公平だ
悪いことだって許してくれそう
誰にもばれない秘密の場所で
ふと思いだした昔の罪を
さらけだしては、みんな前向きになっていく


主婦がふとんを叩いたら
社会人は旅に出る
アイロンの吐くスチームだけが
私に汽車を予感させる



すくすくと育つのは
ベランダのサボテンか
物足りなさか


寒さも感じず
洗濯物を干し終える頃
うとましかった冬でさえ
その尾をつかんでしゃがみたくなる


もはや私は駅でしかなく
錆びゆく鉄筋に気づく脳も無いのだから




助けておくれ
サイトカイニン
微温の空気を受け入れなくちゃ




つぼみがほころび始めたら
今日という日もきっと、また
蓄積していくノスタルジーが
歩幅をここまで狭めてしまうの








自由詩 サイトカイニン Copyright 茜井ことは 2008-03-21 20:22:15
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