生活の 静かな
水町綜助

  ・
 
 痣のある猫がいて
 部屋の中に僕といる

  ・

 ベランダで風に
 煙草を吸っていると
 くるぶしに柔らかい体が触れる

  ・

 敷きっぱなしの布団に座り
 壁に凭れ
 天井を見ていると
 僕の体の
 落ち窪んでいくところに
 右足から入って丸まり
 うめる

 横たわって腕を投げ出せば
 二の腕に顎をのせて
 目を細めている

  ・

 トイレから出ると
 ドアの前で少し首を傾げて

  ・

 台所でコップに水を汲み
 静かな音を飲んでいると
 シンクの横に柔らかく飛び乗って
 喉の動きを見上げて

  ・

 眠ると胸の上が少し苦しい

  ・

 こんなふうに求めている
 その理由はやはり僕にはどうでもよく
 飲んだ水が体に落ちてゆくように優しい
 そのように理解して
 僕は
 僕の留守の間のことを
 すこし考える




自由詩 生活の 静かな Copyright 水町綜助 2008-03-21 01:11:31
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