うそつき
凛々椿

月をしばらく凝視して
まぶたを閉じると
月は暗闇の中で影になって
そしてすぐに溶けていなくなった

街を歩けば骨と骨がぶつかりあって
地面がこすれて悲鳴を上げて
無意味な国に生まれて
無意味な生に意味があると偽る大人たち

夜中眠れなくて
虫の死骸を手のひらに転がしながら夜は明けて
落下しかけた月は青空に逃げる
墓場のすべてに意味はない

事実に何の意味もない

外へ繰り出せばあまたに散らばる
無表情な人人の塔
例え重力すら嘘だったとしても
僕の人生はさほど変わらなかったろうね
無意味な国に生まれて
無意味な生に意味があるらしい
大人は嘘つきで
ひどくロマンチックだと思う




自由詩 うそつき Copyright 凛々椿 2008-03-20 14:21:58
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