中断
佐々木妖精
分かる範囲に囲まれて
安心の輪郭重ねて
もういいかなって思うんだ
人生を旅にたとえた人がいたね
豪雨の中ホームから降りて
道なりに進んだ大使館
絵を描いて
ちっちゃい駅作って
絵の名前と駅の名前教えてもらって
最初に教えてもらったのはどっちも同じ名前だった
今見ても全然似てないのに
でもおかげでオモチャと友達になって
スト?とかドッジボールとかプロレスごっことか
ああもうこれだけで
もうたくさん大切な荷物ができて
溢れて落してまた詰め込んで
それなのに今日も面白い装丁の本に出会って
逆立ちしたリスが尻尾で万年筆抱えて
もういいかなってここんとこ毎日思うよ
振り返る準備もして
何一つ溢さないよう準備に専念しても
一瞬 瞼の間から風景は割り込んできて
ああそういえばこんなとこに蕗の薹があったんだ
口半開きで寝てる
うんちょうど荷物がいっぱいになった
ずいぶん幸せで安全だから
もう振り返っていいと思うんだ
待ち焦がれてしまってるんだ
全てが過去になる瞬間
振り返ろう
また溢れた
瞼の裏っ側がさっきと違う