雨のコインランドリー
ふぁんバーバー


雨がふると
むかし行った遊園地の
メリーゴーラウンドをおもいだす
楽しみにしてたのに
その日は雨だった

かっぱを着て
長靴はいて
お兄ちゃんとふたりで
メリーゴーラウンドに何度も乗った
お母さんと
知らない男の人は
すこし離れた傘のしたで
むずかしそうな話をしていた

水たまりに
雨粒がおちて
いくつもいくつも円をつくる
わたしは
いつも
ただしいこたえよりも
まちがえたこたえのほうがすきだった

メリーゴーラウンドには
とっくに飽きて
お兄ちゃんとでたらめな
なぞなぞをして
遊んだ
男の人が来て
ジェットコースターに乗ろうと言った
わたしも
お兄ちゃんも
一目でその人が
嫌いだとわかった
だからまったくしゃべらなかった

お母さんには
わるいことをしたのかもしれない
いまではすこしそう思う
いくつもいくつも
とおりすぎたきもちの
円ができて
そのたび消えて行くだけ


雨の休日
することもなく
たまった洗濯物を
ぐるんぐるんとコインランドリーで回していると
なぜか
あの遊園地のさみしさを思い出す。







自由詩 雨のコインランドリー Copyright ふぁんバーバー 2008-03-20 09:15:55
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