ここにも
井岡護

偶然そこを通りがかった
空気の分子を押し退けて
鉄の日除けと私の肩は触れ合った

思いがけない邂逅に
声をあげ 日除けは歌う
それは初めての声 初めての歌
これに応えて 肩も歌う
それは沈黙の声 沈黙の歌

この様に オルフォイスはここにも
生まれ 永遠となり
そして瞬く間に死んだのだ


自由詩 ここにも Copyright 井岡護 2008-03-19 01:44:54
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