夜明け前の青い空
プル式

( 鳥の泣き出す頃 )



その一
「明けない朝」

フィヨルドに掴まった
ここには朝日しか差さない
毎朝希望と共に
絶望を運び込む優しい光


その二
「いつか明ける頃」

雨上がりの朝焼けには
金色の光が良く似合う
曇天の空に射し込む
無常のひかり
僕は笑う
出来るだけ小さく
僕は泣く
出来るだけ大きく
そうして人生の終わる頃
金色の光が見えるように

その三
「午前五時」

何かを手に掴んだまま
窓を開けたんだ
何かを掴んでいた筈なんだ
何かがなにか判らないんだ
ただ空が美しかったんだ

その四
「光陰」

海辺にかもめが飛ぶと言うけれど
海辺にかもめは歩くものさ
光の波打ち際から飛び立つために
朝日を待っている
そんな毎日だからさ

その五
「太陽は沈まない」

そこではどんな罪も許されて
悪人たちは嬉顔
そこではコンパスがぐるぐるまわり
太陽が地平線を回っていく
そこでは誰も涙せず
そこには誰も住む事は許されない
ただ太陽を追いかけて
地平をさ迷う
そこではどんな罪も許されて
空には無数の鳥が歌う。


自由詩 夜明け前の青い空 Copyright プル式 2008-03-17 23:04:52
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