思い出が詰まってる
桜 葉一
気がつくとあなたはいつもそばにいた
喜んだ顔も
落ち込んだ顔も
泣き顔だって知っている
きっと私は
世界中の誰よりも
あなたとの時間を共有し
世界中の誰よりも
あなたのことを知っているだろう
いつからかは分からない
あなたに恋をしていたのは
あなたに見つめられたとき
あなたの手に触れられたとき
私の胸は高鳴って
破裂しそうなほど震えるのだ
あなたは精一杯の言葉で愛を伝え
私は全身全霊でその愛に応える
あなたとの会話のすべてが
あなたとのメールのすべてが
あなたとのデートのすべてが
すべてが思い出で
私の中に残ってる
だけど私は知っている
あなたが本当に愛してる相手は私じゃないことを
あなたのすべてを知る私には
あなたの気持ちなんかすぐに分かってしまうんだ
だけどそれでもいい
そばにいられればそれだけでいい
あなたはこれからもきっと
あなたなりの言葉で私に愛を伝えるだろう
だけどそれは
本当は私を通して見据えた
あの人への言葉で
あなたが本当に愛している人への言葉なんだ
だから私はあなたが本当に愛している人の気持ちになって
あなたへの愛に応える
それであなたが笑ってくれるなら
それでもいいんだ
私はあなたの
手の温もりも
吐息も
首筋の匂いも
忘れることはない
あなたと過ごしたたくさんの日々は
すべて私のメモリーに残してある
いつか私が捨てられる日が来たとしても
できることならその思い出だけは
消えて欲しくない
消して欲しくない
あなたが愛するあの人からのメッセージは
私がメロディーにのせて伝えるから
そのときの私は悲しみで体が震えているかもしれないけれど
あなたはそんな私を手にとって
あの人からの愛の言葉に応えてあげて
わがままかもしれないけれど
今だけはあたなのそばにいさせて