忘れ去られた理由
あおば

               080317



反抗心が高まって
ドボンと飛び込む鍾乳石が
つぎつぎと消えた天井は
なにもなくなったので
広々として真っ平です
すべすべに光っております
常識を通り越した滑らかさです

不思議な空間を生み出した
真っ暗な洞穴の重力源
コウモリの群れが飛んでゆく
光が無くても大丈夫だと
徒党を組んで余裕綽々
相互に超音波を唸らせて
つぎつぎにドボンと
飛び込んだ鍾乳石達は
神秘の青い湖の底に座り込み
朝晩通り過ぎる大勢の
コウモリ野郎に手を振って
忘れた記憶の再生を促すのですが
水の無い
記憶の底に沈んでしまった粗忽者のDVDは
ピカピカ光ることはあっても
いつまで経っても再生できないので
口惜しくて堪りません。



自由詩 忘れ去られた理由 Copyright あおば 2008-03-17 22:50:02
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