路頭に迷う
ここ

突然まわりが真っ暗になり
右も左もわからない
上も下もわからない
からだの感覚がすべてなくなったかのように
いや、もしそうならば暗いという認識すらないだろう
なにも感じないのだから

右も左もわからない
上も下もわからない
私は胎児になったのか
いや、もしそうならばこんなに不安になることはないだろう
母体とつながっていれば

手も足もわからない
頭も尻もわからない
私は宇宙になったのか
いや、もしそうならば感情などもたないだろう
生き物ではないものが

手も足もわからない
頭も尻もわからない
私はみみずになったのだろうか
いや、もしそうならば自分の頭と尻ぐらいわかるだろう
えさを食べてふんを排泄しているのだから

手も足もわからない
頭も尻もわからない
わたしはばかになったのだろうか
いや、そうであればわからないことすらわからないだろう
深く考えられないのだから

そうか、わたしはばかになればいいのか
そうすればこんなに不安になることはないだろう
さまざまな困難にこころを煩わせることもなく
ただまっすぐに
突き進むだけでいいのだ

手も足もわからないが
手も足もじゆうになり
頭も尻もわからないが
頭も尻もかるくなり
右も左も
上も下もわからないが
ただまっすぐに突き進むのみ
なにもなくてもただ突き進み
まっすぐに
ただ突き進み
突き進むのみ
ふと立ち止まったとき
わたしは前をみていると信じて





自由詩 路頭に迷う Copyright ここ 2008-03-17 21:19:13
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