櫻の宴
朽木 裕

その乱刃の切っ先、どこへ向ける?
君の、白い白い陶器のようなおとがいに
するりとすべらせたなら、なんて美しいだろう

真紅の血しぶきは白い肌をぬらして桜色になる
何時間、眺めていたとて飽きないだろう

そんな君を眺めながら酒でも呑もうか
あぁ、そうだ
下戸の君と一度だけ盃をかわしたことがあったね

君は白無垢を着てゆるく笑んでいた
本当に君は白がよく似合う

性格だってそうだ 今時珍しいほど
純真無垢で なんて美しいんだろう

だから 穢したくなるんだよ
    汚したくなるんだよ
    侵したくなるんだよ
    殺したくなるんだよ

それを君は知らない 決して思いもしない
だから今から死ぬんだ ごめんね


自由詩 櫻の宴 Copyright 朽木 裕 2008-03-17 13:02:43
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