拾い続けるひと
恋月 ぴの

誰かの哀しみを拾い上げる
冷たい小糠雨に濡れ
誰かの哀しみは
つぶらな瞳でわたしを見上げたように思えて
この胸に優しく抱きかかえた

歩道橋下の暗がりで拾い上げた
誰かの哀しみは
手の温もりが恋しかったくせして
わたしの差し出した手を払いのけようとする
そんないじらしさに心打たれ

今日も
そして明日も
わたしは誰かの哀しみを拾い続ける

頼まれた訳でも無く
命令されている訳でも無く

幸せになろうとしてなれなかった
誰かの哀しみは
流した涙の分だけ軽くなってしまったように思えて
桜の木の下に埋めてあげた

誰かの哀しみは
やがて春になると薄桃色の花びらとなって
ふわりふわりと宙を舞い

忘れ去られた想いのひとつかみ
これが人生なんだと風に舞う




自由詩 拾い続けるひと Copyright 恋月 ぴの 2008-03-15 21:28:22縦
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