syzygy
塔野夏子

この身に深く刻み込まれた位相――

どこまでも融け合いながら
どこまでも引き裂かれつづける二体
輻輳しながら
拡散しつづける幾条もの光線

交錯する遊離と帰還 上昇と墜落

このうえなく純粋な献身は
このうえなく邪な裏切りであり
かぎりない祝福は かぎりない呪いであり

踊る静止 幾重にも谺する沈黙

何も映さない鏡
そのまわりを取りまく眩い闇

立ちあがりながら崩壊してゆく塔

――そこから滴るものが何を証すのか 私は知らない


syzygy:正反対のもので対をなす二つ。天文学では太陽・地球・月(惑星)など三つの天体がほぼ一直線に並ぶこと。太陽・地球・月の関係でいえば朔(新月)および望(満月)がこの状態に当たる。





自由詩 syzygy Copyright 塔野夏子 2008-03-15 17:16:22
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