syzygy
塔野夏子
この身に深く刻み込まれた位相――
どこまでも融け合いながら
どこまでも引き裂かれつづける二体
輻輳しながら
拡散しつづける幾条もの光線
交錯する遊離と帰還 上昇と墜落
このうえなく純粋な献身は
このうえなく邪な裏切りであり
かぎりない祝福は かぎりない呪いであり
踊る静止 幾重にも谺する沈黙
何も映さない鏡
そのまわりを取りまく眩い闇
立ちあがりながら崩壊してゆく塔
――そこから滴るものが何を証すのか 私は知らない
syzygy:正反対のもので対をなす二つ。天文学では太陽・地球・月(惑星)など三つの天体がほぼ一直線に並ぶこと。太陽・地球・月の関係でいえば朔(新月)および望(満月)がこの状態に当たる。