哀しみという名の
Song Is Love

      湖


哀しみという名の湖に

小石を投げて

湖の深さを測ってみた

小石が落ちた水面から

波紋がゆらゆらとひろがり

いつかどこかで聞いたような

メロディが底から聞こえてきた



      宝石


誰かこの哀しみという名の宝石を

買ってくれないでしょうか

世界でたったひとつしかない

哀しみがぎゅっと凝縮された

めったに出ないシロモノなんだけど

恋に敗れた涙がひとつ滲みています

なんなら一度舐めてください

きっと塩辛い味がしますから



      マッチ


哀しみというマッチを擦りました

一本目のマッチを擦れば

細雪のなかの君の想い出

二本目のマッチを擦れば

ベッドの中で交わす睦言の記憶

三本目のマッチを擦れば

君の部屋に漂うアロマの香り

君の瞳に映りこむ

それは炎のゆらぎ

それは恋のゆらぎ


マッチ一本

火事のもと


マッチ一本

失恋のもと


自由詩 哀しみという名の Copyright Song Is Love 2008-03-14 22:04:13
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