腐った野苺
大覚アキラ

ぼくは
腐った野苺を食べてしまったから

おかあさん

さよならです

片耳のちぎれた野良犬が
悲しい目でぼくを見つめているよ

灰色に濁った
その目の奥から覗き見る世界は
どんな風に見えるんだい

降り注ぐ
溶けるような緑の光を
身体中に浴びながら
ぼくは
喉笛を掻きむしりながら
水たまりの中を転げまわる

おかあさん

そういえば
いつか
光について
語り合ったことがありましたね

いったい
どんな話をしたのか
もう
すっかり忘れてしまったけれど


自由詩 腐った野苺 Copyright 大覚アキラ 2008-03-14 18:48:28
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