yo-yo

がりりと土壁を引っかいた
鎌の刃先の
あの放物線が消せない


おまえの山を見たい
祖父は
赤土をこねて
小さな山をつくった


夏へと秋へと
ゆらゆらと山をのぼる
黄蝶のような麦のシャッポ(帽子)
蔓に蔓を接いで
みどりの空をかさねてゆく誰か
あかい実が滴る
それが
祖父の山だった


がりりと果汁の痛み
赤くて消せない
親指と人さし指をコンパスにする
いっきに放物線の山を越えた
その日も
がりりと悲しかった




自由詩Copyright yo-yo 2008-03-14 06:45:50
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