春雨
たりぽん(大理 奔)

同心円でありたいのです
それぞれの速度で広がる
無数のわっかのなかで
波紋を重ねたいと

降り始めの一滴になりたいのです
そのひとのほほで流れれば
きっと振り返るでしょう
手のひらを空に向けて

その手をそっと取る
風ならばどうでしょう
花びらを舞い上がらせれば
その背中を追ってくれるでしょうか
それとも、
髪をなびかせてくれるでしょうか

季節のようにはいられないのです
過ぎ去っていくものではなく
染みこむように髪を濡らし
あなたのまわりに同心円を描いて





自由詩 春雨 Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-03-14 00:55:44
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