ちいさな春のメロディー
Affettuoso [アフェットゥオーソ]



    猫のあくび
    窓辺のコスモス
    いろあせたオルゴール
    金魚のあぶく
    ハチミツ入りの紅茶
    それから
    きみ

   そういうやさしいものから
   世界はできてるとぼくは思うんだ
   春もほら
 


 テーブルに野ばらを飾って
 窓をあけてごらん
 お皿はもう並べたから
 ラズベリーを摘みにいこうか
 まだパイは焼きあがらないけれど
 もうすぐさ
 春もほら


  いつくしむように花を摘んで
  蕾はいつだって
  ひたむきで
  そう、きみも

  雪をやさしく包んだなら
  そっと息を吹きかけて
  花びらになれたなら
  もうだいじょうぶだから




 きみの、まちのぞんだ、
    はるが、くる、よ

 だから、め、を

 さまして


はるを迎えに
ぼくはゆくよ

きみに会いに
ぼくはゆくよ




    クローバーの花束
    揺れる陽だまり
    挽きたてのコーヒー豆
    七色のしゃぼん玉
    星の砂のビン
    それから
    きみ


   ぼくが愛するのは
   そんな世界で
   そんな春で
   つまりは
   きみだから。
















自由詩 ちいさな春のメロディー Copyright Affettuoso [アフェットゥオーソ] 2008-03-13 21:54:38
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