紙の欠片
ここ
月が眼の見えない日
紙の欠片が寝返りをうつと
月の手からこぼれ落ち
ゆらり、ゆらり空に泳ぐ
慈愛の翼に煽られては
喜び香る
ひとひらの
さくらの花びらとなり
情熱の翼に煽られては
怒りに濡れる
ひとつぶの
天の涙となり
哀愁の翼に煽られては
哀しみ溢れる
ひところの
魂の宿らぬ葉となり
神秘の翼に煽られては
楽しみ時を忘れる
ひとときの
輝ける結晶となり
この世の儚きを夢の中
人の手に絡めとられ
目を覚ました紙の欠片は
月を想う
自由詩
紙の欠片
Copyright
ここ
2008-03-13 01:43:51
縦