回転する王の座標
狩心

いのちを
す て た

ビニール袋に入った命
感情のない指先から落とされた

見よ 馬車!馬車!馬車! 偏見なる眼差し
安い賃金が笑っているではないか 黒いボロ雑巾の中
マグマの塩酸 レース 渦巻
そうして一人一人
横開きのドアを前に倒して
出て行くではないか 希望

座礁
今が閃きから成る 先端症 輝き
もじゃもじゃになっていく頭
固定化されていく体
掻き毟る
右手がない!

いのちをすてた
音楽が流れても息継ぎは出来ない
子孫が繁栄しても
あの時の感動は止まる事がない

空よ 体を広げていく空よ 速度を
おはようございますと 挨拶を
投げ出したロード ビロード スカイ

好きだ
健康なる無花果の葉 無限地帯
速度にも増した速度 ボディが掛け離れていく 霧の濃度
さようならと 挨拶を
投げ出したビロード スカイ 大地
その中に置ける
感情のない指先から落とされた
ビニール袋に入った命

温かさが王を
包み込む時

馬車が転倒する
波打ち際のクラゲに
挨拶を交わして

先端症
王が包み込まれた時
左手がある
母親の速度
回転していく
イノチヲステタ
夕焼けの愛撫に
ブラックナイトが力強く母親の名前を呼ぶ
背中から生えた腕
ガラスのシャトー
車輪の遠心力が
赤い液体をばら撒く
酔い痴れるワイン

雲の切れ間
そこから何処かへ飛び出していく
クラゲ達の群れよ
雷撃の痺れ
足先に 手先に
光が転倒する度にユニバース
白髪が血みどろに塗られ
蛇のように体から逃げていく

ただその地点だけに輝いていた
馬車と大地の狭間で空を見て
波打ち際と車輪の音を聞きながら

いのちを
本当に捨てたか?

小さな無数の金貨が
命よりも硬かった日

王の図書館には
野生のウルフが氾濫し始めていた
兵士達は皆
愛する者の元へ赴き
王は一人
天にも届くほど高い塔の窓から
落下した
ユニバース
生きているわけがない
子孫が
右手を取り戻した時

泣くのはたった一人
空の中で

エンドレスエンドレスエンドレス にじみ寄る混沌
発見者に待機 発券者に大気

クラゲ達のダンス
投げ出したロードに
ビロードの
スカイ

速度を得た
大地

生まれて来るなら図書館のウルフ
金貨よりも硬い



自由詩 回転する王の座標 Copyright 狩心 2008-03-11 16:10:04
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