春の前日
ふぁんバーバー


こんなに胸がきょう
せつないのは
わたしだけなのだろうか

春の前ぶれの雨が
まるで生まれたてのたまごのような
しろいふあんと
いたたまれぬきぼうと
あたらしいよかんと

蜂のはばたきのように無音で
わたしの胸にはこばれるのは
じっと耳をすませずにいられないのは

会社のパソコンの
キーボードをたたいていても
すこしだけ開いた窓から
いちども聞いたことのない歌が
とてつもないなつかしさで
わたしを泣きそうにさせるのは

きょうだけのことなのだろうか
こんなに胸がせつないのは
なぜだれも
このきもちについて話し合わないのだろうか

明日にはもう
なにもかも元どおり
こんなに胸がきょう
せつないのは
わたしだけなのだろうか






自由詩 春の前日 Copyright ふぁんバーバー 2008-03-10 20:30:35
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