砧 和日

彼らは同一のまま
やがて二手に分かれて
一方は家に帰ったけれど
もう一方は宇宙船へ
打ち上げの時を過ぎて程なく
夜の帳がおりるように
明るさは次第に失われていき
一つの照明器具もないまま
距離がみるみる遠のいていく
もう会うこともないのだという
予感を等しく分け合いながら
お互いがお互いの
ことばかり考えていたのに
真っ暗闇のために
いつしかうとうと眠ってしまい
見分けることのまるでできない
今は同じ夢を見ている


自由詩Copyright 砧 和日 2008-03-08 21:33:40
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