液体
ここ
夢の中で私は
白いユニットバスのような空間に
ひとり立ち
蛇口を捻っていた
欲望という液体が流れ出す
色は無いが
キラキラとした輝く光を発しもすれば
ギラギラとした怪しい光を感じるようにも思える
心という浴槽に
うねりを伴い
微かに渦を巻きながら液体が拡がっていく
うねりを伴い
微かに渦を巻きながら
幽かに光を放つ液体が徐々に満ちてくる
私は浴槽の中へと静かに足を入れ
ゆっくりと身を沈めていく
液体は浴槽からひたひたと溢れ出す
床に溢れ出たそれは
凝視しても判らない程の緩慢な傾斜を
音も無く下り
排水溝から
夢の外へ
夢から覚めた私は
理性というロボットの
監視の及ばない無意識という自由により
その欲望を叶えよ
と突き動かされる
夢の中で
自分の心から溢れ出たものとは気付かないまま