液体
ここ

夢の中で私は
白いユニットバスのような空間に
ひとり立ち
蛇口を捻っていた

欲望という液体が流れ出す
色は無いが
キラキラとした輝く光を発しもすれば
ギラギラとした怪しい光を感じるようにも思える
心という浴槽に
うねりを伴い
微かに渦を巻きながら液体が拡がっていく
うねりを伴い
微かに渦を巻きながら

幽かに光を放つ液体が徐々に満ちてくる
私は浴槽の中へと静かに足を入れ
ゆっくりと身を沈めていく
液体は浴槽からひたひたと溢れ出す
床に溢れ出たそれは
凝視しても判らない程の緩慢な傾斜を
音も無く下り
排水溝から
夢の外へ

夢から覚めた私は
理性というロボットの
監視の及ばない無意識という自由により
その欲望を叶えよ
と突き動かされる
夢の中で
自分の心から溢れ出たものとは気付かないまま


自由詩 液体 Copyright ここ 2008-03-07 23:18:29
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