『鏡』
東雲 李葉
探し物のように夢のゆくえを手探った。
壊れ物のように僕はそれを大事に握った。
―――自分の弱さも知らない僕を君は黙って見つめていた。
昔の影に捕まった。
影踏み鬼は代わらなかった。
―――自分のことさえ分からぬ僕を君は黙って見つめていた。
どこまで行っても崩れる道筋。
どこに行っても解れるあやとり。
―――立ち上がることさえ出来ない僕を君は黙って見つめていた。
三叉路は結局ひとつに繋がっていた。
選択肢なんて見せかけだった。
―――立ち止まったままの僕を君は黙って見つめていた。
曇ったガラスに放たれた光陰の矢。
行き詰まった思惑が音を立てて崩れ去る。
―――破片が刺さる細い肩を僕は黙って見つめていた。
探し物のように夢のカケラを手探った。
壊れ物のように僕の心は震えていた。
―――合わせ鏡を覗いたように僕は僕を見つめていた。