たんぽぽ
shu

凍ったような蒼い空の下
あの子は霜降る土地で落ち葉拾いをしている
空と大地の狭間に風が舞い
所在を失った言葉たちが
透き通った身体で浮遊する
指の先で感情と涙の分量を測り
葉脈に記していく

ああ 今日は雪のようにしんしんと降ってきます
あなたの言の葉
あなたの抜け殻
あなたの骸
涙は冷たい空気に晒された
暖かい心との温度差によって滲み出る雫
あなたの流した涙の数だけ拾いましょう

白い息を吹きかけ
かじかんだ手のひらをそっと開けば
言葉の残骸が一つ一つふわりと舞いあがリ
まだ冷たい春のほのおにポポポ…と燃えて
生まれたばかりのつぼみを震わせる
そうして

大地に足を這わせ踏ん張って
澄み渡った青空に身をよじり
放たれた香を求め祈るように手を伸ばし
胸の花びらを開きはじめる





自由詩 たんぽぽ Copyright shu 2008-03-03 23:17:35
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