焼肉
よしおかさくら

牛カルビを箸で持ち上げる
タレにくぐらせてご飯の上に乗せる
口へ運ぶ
あっさりとした旨み
歯ごたえがあるようですぐに消えていく
油っぽくはないと
半分ほど食べ進んでから気づいた
乳臭い旨みを感じる
ありがたい
これが牛の愛か

豚トロを箸で持ち上げる
塩ダレに少しつける
今日はレモンが少ないようだ
端を少しずつ齧っていく
切り刻まれてわたしの一部になってくれる
これが豚の愛か

真っ白いネギが上手に焼かれて
肉の愛から気をそらせる
とろとろと熱い愛を伝えてくる
ネギにも熱心な愛が

最後の愛はどちらのものにしよう

わたしはハラミを
選ぶ


自由詩 焼肉 Copyright よしおかさくら 2008-03-03 14:25:32
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