繋いだ手のないふたり。
哀詩
ふたりの写真を切り取って恋と呼んだ。
かけあわせた煙草がおちた。
それはまるで落ちていくふたり、
林檎の蜜が紅に染まった
端からこぼれおちる液こそが血
きみの素肌に触れた夜。
左の爪を黒に染めれば
心臓に近い指すら封印した。
あそこを壊して、
もう大切なものは飛んでいった。
つまらない距離をおいていたのは
焼き増したときにより簡単に切り取れるように
底意地の悪い悦でした。
きみの届かない手が
いつも空を切る午前中
自由詩
繋いだ手のないふたり。
Copyright
哀詩
2008-03-03 06:26:57