独楽、回転す
餅月兎

意識には軸がある
眠る独楽のように
外からは静止しているように見えて
存在を大地に穿ってゆく

そして
頂は常に天を向き
宇宙の何処かにあるであろう
とおい故郷を指し示す
独り楽しく

遠心力というものが働いており
外側は
あちこちにぶつかり
ぶつかられして
(ネムッテナンカ イラレナイゾ)
赤や青 緑や白
色とりどりの
火花を散らす

中心へ行くほど
外側とはまったく別個に
いのちが
立つ
というその仕事を黙々と
大地に穿ってゆく

やがて
上下の力が均衡を失い
軸がぶれ
倒れる



穿たれた穴と共に
独り楽しかったことの思い出が
横たわっている







よくできたコマが安定した回転をしていて、静止しているように見える状態を「コマが眠っている」と表現するそうです。


自由詩 独楽、回転す Copyright 餅月兎 2008-03-02 04:48:03
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