昼寝
fomalhaut

目が覚めると
あたりは墨汁をぶちまけたようで
青はかすかな光を投げていた
体がとてつもなく重い
重力の法則でも変わったのか
それにこの気だるさ
身体の隅々まで
毛の一本一本にまで染み付いた
この怠惰という呪い
私は世界に置いてきぼりにされたのだ
人々やあの街々は時空の遥か彼方に行ってしまった
太陽も無言で行ってしまった
私はひとりぼっち
本物の孤独だ
ここ この一点で
宇宙にポツンと浮かんでいる

暗闇の中でモゾモゾと昆虫のように動いている
星ひとつ見えない
一面の暗黒 沈黙  
耳の中でなにか電子音が鳴っている
私の内部の音
無機質な機械仕掛けの内部に響く悲しい音だ
それがすべて
みんな行ってしまった
あの恐ろしい睡魔に魂を売ってしまったばっかりに
ああ あの一瞬の快楽のために
世界は消え失せた!


自由詩 昼寝 Copyright fomalhaut 2008-03-01 17:27:44
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