佐々木妖精

待合室の本棚で
文脈が所在なく足を抱えている
現代の錬金術師が白衣を着込み
セロトニンとドパミンを調律する
部屋の隅々まで描いた木は私は統計になる
意識が目の裏と舌の上で目まぐるしく動き
首周りの痣であるとか
ミックスジュースの不協和音に揺さぶられ
回り込まれたはずの彼は目の前を行く
今というメタは常に私を支配していた
していた
おかげでいまや水中毒だ
水がないと生きていけない

傷ついたと言いかけて口を止める
心に外科的処置はいらない



太陽にいないいないばをして遊んであげて
水たまりだけを好んで歩き
残雪で顔型をこしらえ
電柱を枕にして眠ったりと
手帖をぶら下げた私は
カラカラと疾走する
頭蓋骨が奏でる風を耳で塞いだり はなしたりしながら


自由詩Copyright 佐々木妖精 2008-03-01 15:01:28
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