夜更けのような朝に
もこもこわたあめ
閉じていた重い瞼を少ししかめて外に目をやればまだ夜更けのように空は蒼く
力の入りきらない腕と体に静かな苦痛を感じながら時計の針を追えば普段と変わらぬままで
重い・・・痛い・・・
病み上がりのままの体の重たさを踏みしめるように
夜更けに似たとある朝に
私は体を起こす
普段どおりの朝食を終え
普段どおりの電車に乗り
普段どおりの一日の始まりに
次第に体はなじんできてると実感させられる
けれど
その実感はなぜか悲しく虚しいものに取って代わられて
昨日が夢やまぼろしだったかのように錯覚させられてしまうくらい
指先にあなたのいない左手がやけに寒く感じる
あなたに会いたい ただそれだけ・・・そう思いたいだけ?
本当はあなたを誰にも渡すことなく独り占めしたいくせに
素直に言うのは
なぜか怖くて右手で携帯の文字をなぞってる
「送信」
昨日の記憶があいまいに上書きされてしまう前に
他にはないあなたへの思いをただ伝えたくて
車窓に目をやればそこにあなたがいてくれると願って