忍び足の春
石瀬琳々

じっとしてそとくちづける桃色の
    耳たぶに来る忍び足の春


いきおいで踏んでしまえば近づける
    春も黄色の君がソックスも


風は吹く髪に小枝にからまって
    うぐいす色のハンケチを振り


水色の君の涙を壜詰す
    雨を降らせてまつげ濡らして


春は沁む器にあけるミルク色
    やわらかいひげ猫の吐息に



短歌 忍び足の春 Copyright 石瀬琳々 2008-02-28 15:24:16
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