1989年
吉岡ペペロ
中芝でふたりすわってランチした
ハムとキュウリのサンドウィッチ
彼女のつくったサンドウィッチ
すずしくてさびしい味だった
紅茶が飲みたいといったから
正門まえのパン屋さんに走った
空は五月だった
食後の読書をこころみたけれど
まぶしすぎて文字が追えなかった
あのころみたいに自由ではない
ラブホでいっしょに試験勉強した
彼女の親友のノートをコピーしまくっていたことで
それだけではないのだけれど
なぜだか深刻な口論になってしまった
下宿で寝転んでいたら電話が鳴った
でる気がしなくてそれを見つめる
あのころみたいに自由ではない
あのころみたいに自由ではない