美しい犬  〜ペロリーナさんへ〜
ましろ

美しい犬がいた

おばあちゃんが しゃべっても
おじいちゃんが ふらり通っても
見慣れない客の私が そわそわ頭を下げて
みつめても
じっとして

娘が話しかけると
ぺたんとした長い耳が
微かに動いた

私は大丈夫だから、そこの珍客と遊んでらっしゃいな。
切れ長の大きな瞳が
告げる

田舎の家族の団欒が染みついた居間に
美しい犬がいた
焦げ茶の艶めく肢体からだをよこたえ

潤んだ瞳を覗き込むと
きらりと
ビロードの光りを放った

離れると
ふたたび瞳は潤んだ 沼のように
家族のいとなみを湛えて  


自由詩 美しい犬  〜ペロリーナさんへ〜 Copyright ましろ 2008-02-27 16:20:03
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