落ち方
六九郎

できれば曇り空の日がいいでしょう。
まわりに高い建物や木などがない場所を選んでください。
慣れない方は、あまり雑音のない、
出来るだけ静かな場所の方がいいかも知れません。
服装は気軽なもので構いません。
まず地面に仰向けになり、
まっすぐ前を見つめます。
立ったまま落ちたいという方もたまにいらっしゃいますが、
首を痛めますのでお勧めいたしません。
この場合の前とは、
あなたが正対している前、
果てしなく拡がっている前、と言うことになります。
このとき視線は出来るだけ垂線を引くように心がけます。
その垂線の届く先、何もない虚空の一点をじっと凝視してください。
そのまま始まるまで、しばらくじっと動かないでいてください。
そして自由落下が始まると、あなたの手は何かつかまる物を求めて不随意運動をはじめるかも知れません。
それはそれで続けていて頂いて構いません。そのまま落ち続けてください。
そのままどこにも着地することなく落ち続けてください。
声をあげながら落ちていきましょう。
は行でお始めの方が多くみえます。


落ちることが出来なかった方、
あなたのお陰でこの世は動いています、ありがとう。
明日もがんばって働いてください。


自由詩 落ち方 Copyright 六九郎 2008-02-27 00:40:03
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