春遠からじ
木屋 亞万

中指から菜の花
首に蒲公英を飾り
髪には白詰草の花輪
紋黄蝶が降りてくる
温かい手に引かれ
飾りを崩さないように
ゆっくり着いていく
薄手の白いセーターが
日差しにぼんやりと光る

桜雲が流れて来たわ
違うよ僕らがそこに行くんだ
桜吹雪が吹いて来たわ
そうだね温かくひらめく粒が綺麗
ねぇこれは夢かしら
ああ実に夢らしい夢さ

だってまだ二月
行ってしまった一月
逃げるように二月
去るように三月
すぐに春は来る
花柄のワンピースは
閉ざされたクローゼット
ハンガーに着せられて
春の野山を夢見ている


自由詩 春遠からじ Copyright 木屋 亞万 2008-02-26 18:09:17
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