渇く
佐々木妖精

8時間酒も薬も飲まなかった裸眼でいた
ギリギリのバランスを見極めたかった
おかげで8を∞や8と引っくり返せる様置き換え可能だ
水は蛇口とか枕もとの酒瓶を収納できていい
言葉が道具なのだとしたら
刃物を納める鞘なんだろう

出発の時間
台所で半斤のパンが膝を曲げている
湯気を湛え
フローリングの上ビニールにもたれている

岩盤浴
という砂漠は身体によくないと感じたくる
しかった
これが地表だと託されたら先人を殴りつけるだろう
勧められたモンゴルの塩はひどく苦い
また遊牧の民に怯える時代がくるんだ

蒙古がくるぞ 蒙古がきたぞ

蹂躙された田畑でサラブレッドが息絶える
ようにパンが待ちぼうけていた
老廃物で膠着した彼をどうすべきか考え
まだどうにもできないでいた
ため弾まない肌に防腐剤を流し込む

しかし楽園などなかったんだ
未来への弁明と捏造
干からびた小麦を皿に飾る


自由詩 渇く Copyright 佐々木妖精 2008-02-26 09:51:27
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