ハ長調で破滅を唄おう
佐々宝砂

禁忌は真っ白にほどけてゆく
きらきらと
あたりいちめんにひかる黄砂
爛れてゆく頬に
焦げ縮れてゆく髪に
明るくかがやくプルトニウムをかざろう

これで終わりなのだから
やり直すこともないのだから
黒いウエディングドレスを着よう
光触媒の青薔薇のブーケを
凪いだ海に投げよう
誰一人受け取る者がいなくても

引き返す必要はないし
何か語る必要もない
昨日に戻る必要はないんだから
かろやかにくるしい
胸声のハイCで
ハ長調で
破滅を唄おう


自由詩 ハ長調で破滅を唄おう Copyright 佐々宝砂 2008-02-26 02:34:00
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