白い記憶
かや

台所の窓から見下ろす 校庭が白く染まって
摘みとった記憶まで見つけてしまいそうだ

ふとももにあたるスカートの襞 湿り気を帯びた木の匂い
犬走り 紋白蝶 遠くのポートタワービル
木漏れ日が さびしい日
何も記せないノートの隅に
かえりたい、と小さく書いた

雪は剥ぐ白覆う白
包丁の刃がさらけ出す やわらかないたみ
幾度呼び起こしても満ちることのない

沸騰する水の音
手の平で溶け始めた胸を押さえて
ここにいるの、と言い聞かせている




自由詩 白い記憶 Copyright かや 2008-02-24 23:00:34
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