幸福を飲む
AKiHiCo

洗面器に溜まった
掬い上げた幸福を
すぐに戻した
指を広げれば
その間から幸福が
とろとろとろ、

相応しくない
相応しくない
そうして、
僕が幸せになる事
決して無くなって
時だけが無機質に
過ぎて消えてゆく

持ち上げた洗面器
重みをこの腕に
伝えて形を変える
その表面に浮かべた
青い月、白い星
輪郭を揺らしながら
夜を照らしている
僕は此処に居る

唇を縁に当てて
幸福を飲み干す
月を星を夜を。
目蓋を閉じていよう
そのまま、僕は




自由詩 幸福を飲む Copyright AKiHiCo 2008-02-24 16:09:18
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