溺れる旋律
衿野果歩


あの唇に触れたい
と思う
真昼の摂氏8度

あの手に触れたい
と思う
真昼の月をなぞる指先


その歌声があんまり甘く優しいから
自惚れてしまいそうになる
わたしのために歌って
なんて

震える喉仏に噛み付いて
流れる赤が見たい



わたしたちが辿るのは
いつだって
半音ずれのメロディ

原曲通り美しくは
決して進まないストーリー


自由詩 溺れる旋律 Copyright 衿野果歩 2008-02-23 20:54:24
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