夜の海
亜樹
橋の下に
鯨がいる。
ぬっめりとした皮膚が
ゆっくりと波うった。
大きな鯨は
泳いでいる。
きらきらと
目がひかる。
いくつもあるそれは
同じ方に
向かって流れた。
ああそうか
おまえはあすこに
ゆきたいのか
海の端には
月がかかっている。
その光に向かって
ゆっくりと
波が進む。
今日はひどく
さみしい夜だ。
吹く風は冷たく
橋の下にいた鯨は
いつの間にやら
沈んでいた。
自由詩
夜の海
Copyright
亜樹
2008-02-21 23:34:26